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長続きを目指す感想だとかの書き込み日記です。20080219に作成。
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Posted by - 2024.05.14,Tue
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Posted by セージ - 2008.03.03,Mon

「ソリはすべて停止し、いちばん先頭にはノルウェーの国旗がへんぽんとひるがえっていた。
 旗はおのずからひらいて、さらさらとみごとにはためき、絹地が輝いていた。
 清明な外気と、ぎらぎらとまぶしく白い世界に、それはすばらしい眺めであった。
 ついに南緯八八度二三分を通過したのだった。
 われわれは、どんな人間がきたことのあるところよりもさらに南にいたのである。
 この探検旅行中、この時ほど感動したことはなかった。
 あふれてくる涙をとめようもなかった。わたしの心をとらえたのは、そこにある旗であった。
 さいわいわたしはほかの者よりいくらか前方にいたので、同僚達のところにいくまえに、
 自制して、感情を落ち着かせるだけの時間があった。
 われわれはみなたがいに手を握り合って祝福しあった。
 われわれは団結することによってこんなに遠くにくることができたのだし、
 またさらに遠く───目的地までいくのだ」

(『生と死の極限心理』中、「南極点征服」より)

この言葉を読めただけで正直価値があったと思いました。
全部見終わってもまだ言うくらいに大好きなんですよ!
単純なのに胸に迫ってくる言葉遣いのリアルさや、息の弾むような臨場感が。
現実の言葉に勝る厚みはないなあ。進行形の言葉だから余計に感情移入しちゃうのかな。
この人の視点を借りると、世界は凄く綺麗に見える。

そんなこんなで先日の本をようやく読み終わりました。
図書館に返す前にメモ。
大本は「生と死の境で生き残る人、命を落とす人」という本の改稿版だったようで、
こっちのタイトルの方が確かに分かり易いなと思いました。
知りたかったことがおおむね知れたし、触りたかったことも見えてきた気分で、
読んで良かったなというのが一番の感想。
本の序盤では、一部の人達が持っている恐怖を越えた勇気が書かれていて、
リアリティに拘るとここ最近はどうしても思い描けなくなりがちだった、
人の眩しさや高い志をもう一度創作軸に置くことが出来るようになって。
想定外の拾い物だったけど、それが一番の収穫だった。
まだまだどこかに信じられるし、信じたいものだな、と思えたのが嬉しい。
大半を見ればやっぱり人の心は柔くて痛み易い、ということも、
生還者の人の事後にも残ってしまう心傷や群集心理の面から理解も出来て、
少しまたリアルとフィクションの境目に悩みだしてもいるのだけど、
(強さと弱さのバランスとか、現実感と気持ちよさの比重だとか)
それでも、明るい面も影の面も人の中にあるものなら、
私自身はなるべく前者を表現していけるといいなと思う。

……ところで、守りたいものが出来てしまうと、
一部(守りたいもの)に対して以外は見識や行動幅が狭くなるし、
弱くもなってしまうなあと思っていたのだけど、
そういう状態からこそ出来る別の心の落ち着け方もあったのかもしれないな、と、
今更に思ったりもし始めた。満たされてるからこその落ち着き、だとか。
多分そういう方向の表現や心の移り方だってありだったんだろうな。
いつも一杯一杯だった自分を振り返って、色々若かったなとしみじみ。
 

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Posted by セージ - 2008.02.25,Mon
素直に面白かった。
読後感も良いし、とても好きな世界観でした。
あとがきで、作者さんが「トーキョーN◎VA」で遊んでいたことを知って納得。
ああいうアクション性の強い世界で遊んでたなら機転も利くようになるだろうし、
職業的なロールプレイ(スタイル)は必須のゲームだから、
「捜査六課」という設定をきちんとハッタリで演出しきれてるのかもしれない。
電撃で発刊されている他の女性作家さんに比べると、
感情描写に割かれている割合が少なく、その分ストーリーは硬質な印象。
葛藤や迷いは勿論あるのだけど、キャラクター的、というのか、
あまり性別を感じない文体だった。
戦闘シーンは厚みがあって格好良かったし、絵の想像もし易かった。
戦いの回数がやや多いのだけど、手を抜いてないところにも好感が持てた。
後は主人公の女の子が可愛かった。

「彼らを見ておきなさい……悪いことやってるなんてこれっぽっちも考えちゃあいない、
 あたしをばらせば、医学だの生物学だのにめちゃくちゃ貢献するからねえ……人類のため!
 法律だろうと何だろうと、大義名分があれば無視できる……。
 罪悪感、恥と外聞気にしなけりゃ、ほんと、人間は何でもできる……
 同属だって殺せちゃうんだからねえ……!」

「生まれれば、いつか死ぬ。妖だってね……。その探究心を、違う方向に生かせばよかったのに。
 ……あたしはそこまで献身する気はない……痛覚は消せても、再生できても」
「心は傷付く。それは、そう簡単に癒せないんだ」
 
ダブルブリッド/電撃文庫/中村恵里加

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