長続きを目指す感想だとかの書き込み日記です。20080219に作成。
Posted by セージ - 2010.03.22,Mon
なんとも不思議な読後感。
こんなにスッキリした終わり方で良いんだろうかというくらい、
嫌な後味が残らない物語だった。
サバイバーの物語としては少し異質な印象。だけど納得が来る。
辛い話なのにそれでも読んで良かったと思わされるバランス感覚に何より感心した。
話の中で語られている「神の視点」にまでは至らないけれど、
断罪しきれない、正しさという武器を外に向けて持つことが出来ない少女の視点は、
結局のところそれに近い中立性を持たされてしまうような気がする。
冒頭の予告で痛みが緩和されていた点もあるとはいえ、
特定の人物に対する憎悪が胸に残らなかったのは、
何よりも主人公たちの視点に影響されてのことだと感じたので。
父親の敵にならない自分の味方という矛盾した存在を、
自分と同じ世界にいる子供に求めるしかなかった裏腹さだとか、
当たり前に貰えない気持ちをあえて欲しがる代償行動の心理だとか。
言葉の端々には嘘に包んだSOSが滲んでいるし、
本人たちがそれに気付いていないからこそ、その気持ちには生々しさと悲しさがある。
誰の目に視点を置くかという一点で、この話の印象はかなり様変わりするんじゃないかな。
200Pの短編が、こんなにしっかり気持ちに根付くとは思わなかった。
「ほんとはね、ほんとの友達を探しにきたの。大事な友達。ぼくのためにすげーがんばってくれるいい感じの友達。そいつがみつからないと、海の藻屑になっちゃうの」
「好きって、絶望だよね」
砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない/桜庭一樹
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