ひとまず軽い近況。
四月末までが第一デッド、五月中が最終デッドゾーンな感じです。
特に四月はハーデストモードなデンジャラスっぷり。
この苦しみは全部自分の未熟さでしかないので、せめて根性くらいは身につけたいな。
終わったらやりたいことも読みたい本も沢山あるしなー。大神とP3Pもやりたい。
あと会計ソフト、と自己メモ。こんな時に日記をつける逃避。
近日のところで読んだのは、野島信司の「スヌスムムリクの恋人」。
帰省していた妹が先に読んで、面白かった!としきりに言うので一晩で読了。
ただ彼女と私の感覚は大分違っていたらしく、面白いと思う部分は上手く語り合えませんでした。
仲はいいけど、物の見方がプラスとマイナスくらい違う姉妹なので。
妹は役者を見る派、私はシナリオを見る派。
話自体は、最初に想像したストーリー展開と違ってちょっとビックリした。
でもところどころがもう納得の野島信司。
愛の無い女性関係の多さとか、演説シーンの下りとか凄くそれらしい。
野島作品の恋愛劇は、恋でも愛でもなく『出遭い』ってイメージがあるのだけど、
この恋愛模様は本当にそんな形が突き詰まった印象のお話。
特に、ラストの告白シーンの流れがそのあたり物凄く象徴してるように思った。
「人は前向きに生きた方がいいと言うね。クヨクヨしないでって」
「だけど、僕はそうは思わない」
「僕は一見ネガティブに聞こえるSには、人間の良心が集約されてると感じるんだ」
「いつかは全てが許される時が来る。その時、彼方に大きな虹がかかる」
(P334.抜粋)
内罰、っていうのは難しい。
自分の内側を見る行為は、目の前に居る他人を見ないという行為でもあって、
その間にまた人を傷つける罪を犯しかねない進行形の矛盾がある。
やり方や加減を間違えると他人を生贄にさえしかねないのが自罰。
主人公の「八方美人」な性格は、相手に譲れる余地が多かったからだと話中で言われていたけど、
そのへんを掘り進めると、譲れないモラルは実は相当大きく心を占めてたんじゃないかと思った。
内罰意識と傷を愛する気持ちの兼ね合いって、決定的な罪を犯さないこと、
誰にも踏み込まないことに帰着すると思うんだよね。
しかし、響く言葉を沢山持ってるこの人はやっぱり上手いよなあと思う。発想がほんと詩人的。
この人の話に内罰的な作品が多いのはこの辺の価値観から来てるのかな、とも感じた。
色んな同性間の友情や異性間の友情、生き方の鬩ぎ合いのほうが主題らしくて、
個人的には恋愛劇よりも友情劇のほうが興味深かった。
ハッキリした友情物!ではなくて、個々の色が雑多にマーブルしてるような話。
性差は埋めようがないものだけど、こう見事に男女の違いをスッパリ書かれてしまうと、
男だから女だからと言わずお互いのメンタルくらいはちゃんと理解したくなるな。
とは言うものの、最後の告白シーンの一連の締め方だけは潔くて好き。
人に勧めるにはかなり悩むけど、なんだかんだで楽しめた本だった。
「僕も幸せになりたい」
「私も幸せになりたい」
スヌスムムリクの恋人/野島信司
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